2019年10月6日、新入社員研修で南大隅町にある「ねじめ温泉ネッピー館」にきています。
73歳になる新入社員の宮川さんはまな板の前に立って50年になる板前です。
ホテルや旅館で修行を積んで7月からはネッピー館で腕を振るっています。
料理は自分の舌で覚えました。
見習いの頃の料理人の世界には塩何グラムとか砂糖小さじ1パイとかのレシピはありません。
料理は教えてもらうものではなく盗むもの。習うより慣れるしかありません。
鍋を洗いながらペロッとなめる。しょっちゅうなめる。なめて味を覚える。
料理をまかされるようになってからもペロッとやって味を確かめる。
だから、ある程度トシのいった料理人の歯は虫歯でボロボロだそうです。
その点、今の料理人は虫歯が少ないとか。
ペロっとしなくなったからです。
誰が作っても(パートさんが作っても)同じ味の料理を出せるように、レシピが細かく決められていて、舌に頼る料理からレシピに頼る料理に変わったからです。
ネッピー館の調理場に入った当初は少しとまどいがあったようですが、料理人を目指した20歳の頃の気持ちで頑張っているようです。
「足腰は少し衰えたかもしれないけど腕が落ちることはない」と宮川さん。
調理白衣をキリッと身つけた姿に年輪を感じさせるものがありました。