表彰式では先に10名の名前が呼ばれる。1人、2人、3人・・・
固唾を呑んで出場者名簿にチェックを入れていく。
九州8県から16名が出場した九州地区ビルクリーニング技能競技大会が2018年9月28日、佐賀で開かれた。
この大会に当社の竹之内健が鹿児島代表として出場する。
仕事が忙しく、現場に駆り出され、十分な練習が出来なかったことは知っていたし、38歳という年齢も不利なように感じていた。
8人、9人、10人目の名前が呼ばれた。竹之内の名前はなかった。ここまで呼ばれなくてホッとする。
結果は6位入賞。本人がどう思っているかは別にして拍手である。
パチ、パチ、パチの拍手ではなく、手が真赤になるくらい力強く真正面を向いた拍手である。
競技は2名ずつ同時に行われた。竹之内は、開催県である佐賀の選手と同じ組でスタート。
時間は20分。速さを競うだけではないが、時間内にすべての工程を終わらせることは入賞の絶対条件である。
佐賀の選手はスピード重視らしく早い。竹之内はじょじょに、じょじょに離されていく。
後半に疲れが出たのか、さらにスピードが落ちたように感じた。
先に競技を終えた佐賀の選手の「終わりました」の声が会場にひびく。
竹之内は冷静だった。
先の選手に1分近く遅れたが、慌てることなく最後までしっかりと丁寧にこなした。
審査員の発表を待つ。
・・・
「ただいまのタイム、竹之内選手19分50秒」
うぉおおお、飛び上がりそうだった。
その時、二川コーチは胸をなでおろす行動をとった。
うわーっと声を上げ、うつむき、胸を手に当て、なでおろした。
選手とコーチの間柄(あいだがら)、嬉しさは人一倍だったと思う。
10秒を残して時間内に競技を終えたのは、本人の実力であるが、会社の仲間の応援も力になった。みんなの写真を会場に持ってきていた。
一人だけど、一人じゃない。みんなで手にした「佐賀県ビルメンテナンス協会長賞(第6位)」だったように思う。